海外勤務の経験が日本顧客の信頼を生む

入社24年目 W.H

海外勤務では、お互いを知ろうとする努力と活発なコミュニケーションが大切

以前、上海の営業事務所に約6年半勤務していました。上海では主に工業用塗料を扱っていたのですが、営業については中国の企業は現地スタッフ、日本の企業は日本人スタッフが担当するようにしていました。また、日本から赴任する私たちには現地スタッフのマネジメントといった役割もありました。

ですからちょっとしたボタンのかけ間違いで、現地スタッフから「いつも頑張っている自分たちより後からやってきた日本人のほうがいい給料をもらって役職も高い」などと、マイナスイメージを抱かれないとも限りません。

そういう事態を防ぐためにも、しっかりと現地の状況も分かった上でマネジメントを行い、現地メンバーとも積極的に会話を交わすことで常にコミュニケーションを図るようにしていました。

一方、日本人は勤勉ですから、現地の人の働き方にフラストレーションを覚えることもありました。そういう場合、よく言う「郷に入れば……」で自分も同じような仕事の仕方をするのは得策ではないですね。日本のやり方のいいところっていっぱいありますから、そういう点は現地でも提案し導入していくことで、効率化を図らなければいけません。

けれど、お互いの国の習慣や文化を知ろうとすることはとても大切だと思いますし、考え方に相違点があっても、最終目標はうちの製品を売りたいという同じ気持ちですので、お互いを尊重することは忘れてはいけないことですね。オフィスには日本語、英語、中国語がいつも飛び交っていて非常に刺激的な環境でした。

海外で過ごした日々が今の仕事の糧に

海外にはもっといたかったという気持ちと、もう十分かなという気持ちが半々。とはいえ、もしもあと3年いろと言われたとしても平気でしたね。 

海外での6年半の経験は、現在の仕事にも役立っています。現地の土地勘があるので、中国でモノを作りたいといったお客様のご相談に、的確に応えることができるのは大きいですね。就職活動の際は商社や貿易会社も受けましたが、結局メーカーを選んでよかったと思っています。

確かに商社には様々な製品を扱える面白さはあるものの、メーカーのように自社製品を売る充実感は味わえません。自分の会社が研究開発して生みだした塗料が売れるとうれしいものですよ。 

正直言うと、自分は海外勤務が多いことにも惹かれましたね。就職活動をしていた当時、今ほどメーカーで海外に積極展開している企業は、それほどなかったですからね。 海外で働きたいという学生さんには、入社前から語学の勉強をしっかりすることをアドバイスしたいです。

どこの国でもやはり英語は必要になりますから、TOEICなどで自分の英語力を客観的に知るのもひとつの手段だと思います。当社の場合どこの国に駐在したとしても、コミュニケーションの中心は英語です。「海外で働きたい!」という熱意も大事ですが、それに語学力という+αがあれば、更に海外で活躍できるチャンスは身近になってくるでしょうね。

それと、なぜ日本人が海外で働くかといえば、日本人にしかできないことがあるからだという点を常に意識することも必要です。同時に日本人ができない仕事というものもあるので、自分にできることをよく考え見極めることも大切です。

就活中の学生さんへ

海外での生活、やはり最大の壁は言葉

学生時代に海外で働きたいと漠然と思っていたので、入社当時から海外勤務の希望は出していましたが、特に国にはこだわっていませんでした。ただ大学が中国語学科で中国語を専攻し、天津への留学経験もあるとなれば、おのずと最初の海外赴任地は中国になりますよね(笑)。

初めての国ではないので特にカルチャーショックもなく、比較的すんなりと現地での生活になじむことができました。水道水が飲めないとか食あたりに気をつけないといけないとか、怪我しても救急車はすぐに来ないといった安全面や健康面での不安はありましたが、それは多くの海外に共通していることですからね。

私はそんな調子でしたが、他の駐在員の中にはなかなか土地に馴染めず苦労している人もいました。食事も違う、文化や習慣も違うわけですから、さっと馴染めない人がいるのも無理ありません。ただ、上海は日本人のお医者さんもいるし日本のスーパーもあるので、海外の中ではとても恵まれている環境だったと思います。ですから最大の壁はやはり言葉でしょうね。