TECHNOLOGICAL CAPABILITY
防汚塗料の防汚機構
防汚塗料の防汚機構
船底防汚塗料は、塗膜の溶解機鋼の種類によって次の3種類に分類されています。
加水分解型
加水分解型塗料は、海水と反応して塗膜表面が少しずつ溶け、新しい表面へと更新される塗料です。そのため、塗膜は常に滑らかな状態が保たれ、防汚性能を安定して発揮し続けることができます。塗膜の厚さを調整することで、防汚効果の持続期間をコントロールできる点も特長で、現在の船底防汚塗料の主流となっています。

防汚塗料の塗膜には、加水分解樹脂(高分子ポリマー)と防汚剤が含まれています。


海水中で加水分解して疎水性から親水性へと変化することによって塗膜表層から少しずつ溶解して防汚成分を徐放しつつ塗膜を更新することができます。

塗膜表面を均一に更新することができるため、長期防汚性能を持続させることができます。
加水分解機構の一例
架橋型亜鉛ポリマーの加水分解反応は、過去に使用されていたTBT(有機錫)ポリマーと同様に可逆反応です。そのため、加水分解が滞ることなくスムーズに進行し、優れた消耗持続性を発揮します。

スムーズな加水分解が行われない場合、塗膜表面に防汚剤の溶出を妨げる加水分解層が堆積します。

新開発の架橋型亜鉛ポリマーは、塗膜表面に形成される加水分解層が非常に薄く、防汚剤の溶出作用が常に最高の状態で保たれます。

水和分解型
水和分解型塗料には、海水に対して親和性や微溶解性を持つ樹脂が用いられています。
塗膜中の防汚剤は、海水の浸透によって形成される水和層を通じて少しずつ溶出し、この水和層は船の運航などによる水流の作用によって更新されます。
加水分解型塗料と比較すると、長期防汚性能の点ではやや劣るものの、係留時間の長いプレジャー艇をはじめ、淡水や汽水域での使用にも適しています。
また近年では、加水分解と水和分解の特長を併せ持つハイブリッドタイプの塗料も開発されています。

一般的に水和分解型塗料では、水に親和性のある樹脂が用いられますが、加水分解型塗料のように、樹脂自体が海水中で化学的な変化を起こすものではありません。


塗膜に水が浸透することで表層に水和層が形成され、防汚剤はこの水和層を介して水中へ徐々に溶出します。

形成された水和層は、船の運航による水流の作用によって溶解・更新されます。水との親和性による溶出機構のため、海水だけでなく真水においても防汚剤の溶出が可能です。
シリコーン型
シリコーン型防汚塗料は、シリコーンゴムを主成分とし、防汚剤を含まなくても、塗膜が持つ弾性、撥水性、平滑性によって、海洋生物が付着しにくい難接着性を発揮します。付着そのものを不安定にすることで、海洋生物が脱落しやすい表面特性を実現しています。
近年では、こうしたシリコーン系防汚塗料に微量の防汚剤を配合することで、防汚効果をさらに高めたタイプも上市されています。

表面自由エネルギーを制御した撥水性の高い塗膜表面により、汚れや海洋生物の付着を抑制します。

シリコーン塗料の塗膜表面は、海洋生物が足がかりを得にくい高い平滑性を有し、さらに弾性を備えることで、いわゆるトランポリン効果により付着を不安定にします。

付着した汚れや海洋生物は、船舶の航行に伴う水流の作用によって、比較的容易に除去されます。